こんにちは、作曲家のたかゆきです。
Twitter:@nobel4282
作曲は、深い知識がなくても、ある程度の音感があればできるものです。
しかし、複雑なコードを作りたい場合は、音感だけでは難しいですよね。
私も作曲をはじめた頃は、コードの知識がとぼしく、頭に浮かんだサウンドを表現しきれませんでした。
もっとコードの知識を身につけたいと思った私は、音楽の専門学校に入学し、そこで「曲のクオリティーを高めるコードの作り方」を学びました。
これを理解し活用することで、コードの表現力が飛躍的に向上し、曲のクオリティーも高まったのです。
そこで今回は、「曲のクオリティーを高めるコードの作り方」を、ご紹介したいと思います。
コード進行を作ろう
コード進行とは、複数のコードを連立させて、音楽を進行させるものです。
コード進行の基本的な作り方と、それにともなう音楽用語については、下の記事で分かりやすく解説しています。
「ピアノで作曲 音がぶつからないメロディーとコードの作り方」
これからの解説で分からないところは、こちらの記事をご参照ください。
まずは、3つの音で構成される「トライアド」の「ダイアトニック・コード」を使って、コード進行を作りましょう。
「ダイアトニック・コード」とは、スケールの音だけで作られるコードのことです。
例として、「Cメジャー・スケール」の「ダイアトニック・コード」を使って、こんなコード進行を作ってみました。
今回は、このコード進行を例に、解説していきます。
「トライアド」を変化させよう
先ほど作ったコード進行に、他のコードがマッチするか、試してみましょう。
もちろんこのままでもいいのですが、いろいろ試してみることで、よりイメージに近いサウンドが見つかると思います。
そのためには、他のコードの種類を知る必要がありますよね。
ポピュラーな音楽で主に使われる、下の5種類の「トライアド」を、ご紹介します。
コードの一番低い音を「ルート」と言い、ルートから他の音までの音程を、「3度・5度・7度」と度数で表します。
()内の英数字を「コード・ネーム」と言い、以降の楽譜はこれで表記します。
Cメジャー(C)
効果:明るい感じ
音程:「ルート」+「3度」+「5度」
Cマイナー(Cm)
効果:暗い感じ
音程:「Cメジャー」の「3度」を半音下げた形
Cディミニッシュ(Cdim)
効果:不安定な感じ
音程:「Cマイナー」の「5度」を半音下げた形
Cオーグメント(Caug)
効果:不安定な感じ
音程:「Cメジャー」の「5度」を半音上げた形
Cサスフォー(Csus4)
効果:空虚な感じ
音程:「Cメジャー」の「3度」を半音上げた形
例として、ルートが「C」の「トライアド」を記載しました。
ルートの音名が、「コード・ネーム」の頭につきます。
ここで重要なのが、コードはルートに関わらず、音程によって作られるということです。
つまり、音程させ覚えてしまえば、ルートが変わっても同じ効果のコードを引き出すことができます。
したがって、コードの効果と合わせて、音程を覚えるようにしましょう。
「Cメジャー」をもとに、「3度」と「5度」の音程を変化させるように考えると、覚えやすいと思います。
実際に、4番目の「Eマイナー」を、「Eディミニッシュ」に変化させました。
「セブンス・コード」を取り入れよう
「トライアド」に「7度」の音を重ねると、「セブンス・コード」となり、より多彩な表現が可能となります。
ポピュラーな音楽で主に使われる、下の11種類の「セブンス・コード」を、ご紹介します。
Cメジャー・セブン(CM7)
効果:明るい感じ
音程:「ルート」+「3度」+「5度」+「7度」
Cセブン(C7)
効果:不安定な感じ
音程:「Cメジャー・セブン」の「7度」を半音下げた形
Cマイナー・セブン(Cm7)
効果:暗い感じ
音程:「Cセブン」の「3度」を半音下げた形
Cマイナー・メジャー・セブン(CmM7)
効果:怖い感じ
音程:「Cマイナー・セブン」の「7度」を半音上げた形
Cマイナー・セブン・フラットファイブ(Cm7♭5)
効果:不安定な感じ
音程:「Cマイナー・セブン」の「5度」を半音下げた形
Cディミニッシュ・セブン(Cdim7)
効果:不安定な感じ
音程:「Cマイナー・セブン・フラットファイブ」の「7度」を半音下げた形
Cオーグメント・セブン(Caug7)
効果:不安定な感じ
音程:「Cセブン」の「5度」を半音上げた形
Cセブン・フラットファイブ(C7♭5)
効果:不安定な感じ
音程:「Cセブン」の「5度」を半音下げた形
Cセブン・サスフォー(C7sus4)
効果:空虚な感じ
音程:「Cセブン」の「3度」を半音上げた形
Cシックス(C6)
効果:明るい感じ
音程:「Cセブン」の「7度」を半音下げた形
Cマイナー・シックス(Cm6)
効果:暗い感じ
音程:「Cシックス」の「3度」を半音下げた形
例として、ルートが「C」の「セブンス・コード」を記載しました。
1つ音が増えただけで、急激にコードの種類が増えましたね。
実際にこれらを弾いてみて、あなたのお好みの「セブンス・コード」だけでも覚えましょう。
「Cメジャー・セブン」をもとに、「3度」と「5度」と「7度」の音程を変化させるように考えると、覚えやすいと思います。
もし忘れてしまったら、いつでも見にきてください。
実際に、すべての「トライアド」を、「セブンス・コード」に変化させました。
「テンション」を取り入れよう
「7度」よりも上の「9度・11度・13度」の音程を、テンションと言います。
これを取り入れることで、サウンドに厚みや広がりを加えることができます。
今回は難しい話は抜きにして、下のように覚えておいてください。
テンションは、それぞれのコードの「ルート・3度・5度」の全音上の音
そして、テンションを重ねたら、他の音を省略します。
「9度」を重ねたら「ルート」を、「11度」を重ねたら「3度」か「5度」を、「13度」を重ねたら「5度」を省略するのが基本です。
ただし、1つ注意点があります。
それは、音を隣合わせにしないということです。
例えば、「Cメジャー・セブン」に「11度」を重ね、「3度」を省略したとします。
ご覧のように、「5度」と「11度」が隣合わせになっていますね。
この場合は、省略する音を「3度」ではなく「5度」にするなど、音が隣合わせにならないように工夫します。
なぜかというと、これをやると音がぶつかり、濁ったサウンドになってしまうからです。
実際に、「5度」と「11度」が隣合わせになっている「Cメジャー・イレブン」を、鳴らしてみましょう。
音がぶつかると、このように濁ったサウンドになります。
例外として、これを取り入れる場合もありますが、基本的には避けるのが無難でしょう。
実際に、4つの「セブンス・コード」にテンションを重ね、他の音を省略しました。
テンションの度数が、「コード・ネーム」の末尾につきます。
しかし、最初の「?メジャー・ナイン」はルートを省略したため、コードが分からなくなってしまいました。
この場合は、ルートを低い音で、ベースとして鳴らしましょう。
これで、ベースでしっかりとルートを主張しつつ、コードを自由に変化させることができます。
「ボイシング」を変化させよう
ボイシングとは、コードの音の配置のことです。
コードの音の配置は、並べ替えることができます。
例えば、「Cメジャー」の音は「C・E・G」です。
これを並べ替えて、「E・G・C」としても「G・C・E」としても、「Cメジャー」になるのです。
実際に、2つの「Gセブン」のボイシングを変化させました。
ボイシングを変えるときも、音が隣合わせにならないように、注意してください。
もし、「ルート」と「7度」が隣合わせになってしまったら、「ルート」を省略しましょう。
コードの自由度が高まると、それに応じてメロディーも変化させることができ、より作曲の幅が広がりますよ。
その際、コードに使われている音の半音上の音は、同時にメロディーで鳴らさないように気をつけてくださいね。
これをやると音がぶつかり、濁ったサウンドになってしまうのです。
これについては、前述の「ピアノで作曲 音がぶつからないメロディーとコードの作り方」という記事で、分かりやすく解説しています。
まとめ
ここまで述べたように、コードの種類とテンション、そしてボイシングの変え方を覚えましょう。
この記事でご紹介した、「曲のクオリティーを高めるコードの作り方」をマスターすれば、コードの表現力が飛躍的に向上しますよ。
ぜひ、あなたが次に曲を作るときに、さっそくこのテクニックを取り入れてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。